アスベスト対策の調査手順や除去工事はどうやる?方法を詳しくご紹介!

アスベスト対策・調査手順と除去工事 アスベスト

優れた特性を持ち産業的価値が高く、様々な建築材料に含まれているアスベスト。
しかし、アスベストの繊維を吸入することは人体に影響を及ぼすといわれています。現在は使用が禁止されていますが、過去に建てられた建築物のなかにはアスベストを含む建材が使用されているものもあり、解体して飛散する恐れがある場合、アスベスト対策を行う必要があります。

今回は、アスベストが含まれている可能性が高い建築材料や、それらをどのように調査すれば良いか、また除去するための工事について解説いたします。

アスベストが含有している可能性が高い建築材料

アスベストが含まれている可能性が高い建築材料にはいくつかの種類があります。
比較的多く使われており、飛散性の高い吹き付け材について解説いたします。

吹き付けアスベスト

耐火や断熱などを目的に、既存の建築物に吹き付けられていたのが「吹き付けアスベスト」です。
主にコンクリートの天井や壁部分に吹き付けられ、セメントなどの結合剤と混ぜて使われていました。吹き付けアスベストは脆いため、傷つけると粉塵が舞いやすく、吸入してしまうと人体に影響を与える可能性があります。

アスベスト含有吹き付けロックウール

アスベストをロックウールに混ぜて吹き付けられていたのがこちらです。1975年に吹き付けアスベストが原則禁止となってこちらに切り替わりました。
ロックウールとは玄武岩や珪石、高炉スラグなどを主な原料とし、溶解して遠心力や圧縮空気で繊維にしたものです。アスベストに比べて単繊維が大きいため呼吸器系に入りにくい素材で、過去じん肺などの症例はありません。原則禁止された平成7年頃まではアスベストが含有したロックウールが使用されていた可能性があります。

アスベスト含有吹き付けバーミキュライト

バーミキュライトはひる石とも呼ばれる鉱物の一種です。板状ではないザラザラとした質感の天井には、バーミキュライトが使用されているかもしれません。
バーミキュライトは元々、アメリカモンタナ州のリビー鉱山で産出されていましたが、不純物としてアスベストを含んでいることが分かり、使用が禁止されました。現在はアスベストが含有していない南アフリカ産で安全性の高いものが製造されています。

1960~1980年代に建てられた建物の中にはアスベストを含有したバーミキュライトが吹き付けられている可能性があります。特に古い一軒家や団地で使用されることが多かったようです。

アスベスト含有吹き付けパーライト

防火や断熱などを目的とし、パーライトとアスベストを混ぜて吹き付けたものです。
パーライトとは黒曜石や真珠岩などを焼いて作る軽量の骨材で、天井や壁の仕上げ材として使用されています。固化すると、針などを刺しても貫通しないのが特徴です。アスベスト含有吹き付けパーライトは平成元年頃製造が終了し、現在使われている吹き付けパーライトにはアスベストは含まれていません。

アスベスト対策の調査手順

アスベストが含まれている建築材料に対して行う対策の流れをご説明いたします。

目視や設計図書等による調査

アスベストが含まれた建築材料が使用されている可能性の高い場所には十分注意して、建築物のすべての部分に吹き付け状のものがないか、目視で確認します。
アスベストが含まれている建材である可能性が高い場合、絶対に直接触れないようにします。

国土交通省が作成した吹き付けアスベストなどの施工例を参考にしましょう。
目視で判断できない場合は、設計図書等で施工時期と記載された材料にアスベストが含まれているか確認しましょう。設計図書がない場合でも、業者に問い合わせることで判明することがあります。

サンプリング

目視や設計図書等で判明しなかった場合は、専門機関で分析をする必要があります。
分析のためには現場でのサンプリングをします。自身でする場合が多く、危険が伴う際には出張サンプリングサービスを行っている業者もあります。

自身でサンプリングする場合は、市販のマスク、ビニールかゴム製の手袋、カッターなどの刃物、チャック付きのビニール袋、霧吹きを用意します。霧吹きでサンプリングする箇所を濡らし、作業中にアスベストが飛散しないようにします。業務用カッターなどの刃物を使って、1種類のサンプルを3か所から採取します。吹き付け材を採取する場合、縦3cm×横3cm×深さ1cmの大きさで1カ所から採りましょう。チャック付きビニール袋を二重にして中に入れ、漏れないよう密封します。

成分を分析

サンプリングした試料を粉砕してふるい分けし、定性分析をします。
ここでアスベストの有無を判断し、含有が確認されたら定量分析を行います。
偏光顕微鏡を使用して繊維状の物質を確認し、位相差顕微鏡を使用した分散染色法でアスベストの種類を調べます。X線の回折装置でアスベストが何%含まれているかも判定できます。

アスベスト対策における除去工事の方法

アスベスト対策の調査手順や除去工事

分析の結果、アスベストが含有していることが分かったら、建材を除去または飛散を防ぐための工事を行う必要があります。その方法をご紹介します。

除去工法

吹き付けアスベスト等をその下地から剥がして除去する方法です。
アスベストが含有している建材を完全に除去することができるため、地震などの災害が起こった際に剥がれ落ちることがなく、確実に建物を安全な状態にすることが可能です。

封じ込め工法

吹き付けアスベスト等の建材を天井などに残したまま、薬剤や造膜材等を散布して固定して飛散するのを防ぐ方法です。
除去工法に比べると安価ですが建物を取り壊す際に再度工事を行う必要があるので注意しましょう。

囲い込み工法

アスベスト含有建材を残したまま、板状の材料などで覆います。アスベストの粉じんが飛散するのを防ぎ、損傷の防止を図ります。
こちらも除去工法に比べて安価ですが、取り壊す際に除去工事を要します。

まとめ

アスベストが含まれている建築材料は多くの種類があり、どこに使われているのか目視では確認できないこともあります。そういった場合には、サンプリングと分析が必要です。
株式会社IMICもしくは分蔵検蔵に依頼することで定性分析・定量分析どちらも行うことが可能です。自身でサンプルを採取し、送るだけで完了します。アスベスト対策を検討しているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

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