吹き付けアスベストを確認したらどうしたらいい?対策時の対応についても解説

アスベスト

管理している建物に吹き付けアスベストを確認した場合、どのように対処したらいいのでしょうか。吹き付けアスベスト対策は、劣化の程度によっても処理方法等が変わることがあります。今回は、吹き付けアスベストの劣化状況や対処方法について詳しく解説いたします。また、アスベスト対策を行う際にトラブルにならないよう、管理者が配慮すべき項目についても触れていきます。

吹き付けアスベストを確認したら

どの程度飛散の恐れがあるか確認する

厚生労働省が公開しているアスベスト(石綿)に関するQ&A内で、「わが家はアスベストの危険性があるか」という質問に対し、次のような回答が掲載されています。

アスベストは、その繊維が空気中に浮遊した状態にあると危険であるといわれています(昭和63年環境庁及び厚生省通知)。

すなわち、露出して吹きつけアスベストが使用されている場合、劣化等によりその繊維が飛散するおそれがありますが、板状に固めたスレートボードや天井裏・壁の内部にある吹付けアスベストからは、通常の使用状態では室内に繊維が飛散する可能性は低いと考えられます。

引用:厚生労働省 アスベスト(石綿)に関するQ&A

吹き付けアスベストが表面に露出している状態では繊維が空気中に飛散してしまい人体に悪影響を及ぼす可能性がありますが、繊維が飛散しないような形状になっていたり、建物の内部に使用されたりしている、またはそのような建物構造であれば、吸入してしまう恐れは少なくなります。

仮に、露出している吹き付けアスベストの繊維が空気中に飛散する恐れがある場合、その可能性は次の4段階に分けられます。

飛散する恐れの4段階

  1. 飛散の恐れがもっとも大きい
    アスベストをセメントに混ぜて吹き付け建材として使用されていたものが劣化した状態のことを指します。鉄骨の柱や梁、鉄板床、ボイラー室、空調機械室、エレベーターの機械室といった鉄骨の建物に多く利用されています。
    アスベストが混合されたセメントは固まると綿のような状態になるため繊維の飛散率がもっとも高く、除去作業も大がかりなものになります
  2. 飛散の恐れが大きい
    アスベストを接着剤に混ぜ、加工されたものが劣化した状態です。
    保温材や断熱材などをメインに使用されており、なおかつ建物の内側にあることから、出入りするうちに飛散した繊維を吸入する可能性は先の吹き付け建材ほどではありません。しかし、除去する際は同様の対策・処理が必要になってきます。
  3. 飛散の恐れが小さい
    アスベストをセメントに混ぜ、形成後に乾燥させたものが劣化した状態です。
    木造・鉄筋・鉄骨構造の床、壁、天井に張り付けられているケースと、屋根材として使用されているケースが該当します。
    繊維の飛散率が低いため、手作業での除去作業が可能です。ただし、万が一の場合を配慮し、作業前の周知や湿潤化(アスベストを湿らせて繊維の飛散を防ぐ方法)といった対策が必要になります。
  4. 飛散の恐れがない
    吹き付けアスベストの表面に目立った症状がみられない場合は、飛散の恐れがないと判断されます。

処理方法の選定

吹き付けアスベストの繊維が飛散する恐れが認められた際は、その状態に応じた対策処理を選定する必要があります。

対処工事の実施

「その状態」とは先述した飛散する恐れの1~4に該当するか否かであり、飛散の恐れがもっとも大きい場合または表面に損傷が見られる場合は除去を、また飛散の恐れが小さいまたは恐れはあるが表面に損傷が見られない場合は除去、封じ込め、囲い込みなどの対策が必要になります。

吹き付けアスベストの劣化状況

劣化した吹き付けアスベスト
劣化した吹き付けアスベスト

吹き付けアスベストの表面が劣化した状態とは次のようなものが見受けられます。

  • 吹き付けアスベストの表層部に繊維の毛羽立ちがある
  • 表面の毛羽立ちが進行し、一部分の繊維が崩れている
  • ほぐれて崩れた表面の一部が外部からの力により垂れ下がっている
  • 吹き付けアスベストの下地材に塗布されている接着剤の力が弱まり、下地から浮いている
  • 吹き付けアスベストの一部または全部が剥がれ落ち、損傷や失損している

アスベスト対策時に管理者が配慮すべきこと

情報提供

吹き付けアスベストが使用されている可能性の高い建物などの解体、改修、除去を業者に依頼する際は、アスベストによるばく露を防止するために、アスベストの使用状況を通知することが義務付けられています。(石綿障害予防規則第8条)

関係者への合意形成

建物の解体や改修、除去を行わない場合は、現状の飛散リスクをきちんと把握し、健全なる維持管理を目的に関係各社と今後のアスベスト対策について検討や合意形成を図りましょう。

工期や経費の条件への配慮

建物の解体、改修、除去などを依頼する工事発注者は、作業担当者がアスベストによる健康被害を負わないよう、必要な対策を講じることが大切です。また、その工期や費用については、労働安全基準法などに基づき命令の遵守を妨げないように配慮せねばなりません。(石綿障害予防規則第9条)

まとめ

劣化した吹き付けアスベストは、見た目の状態によって施す対策が異なります。
劣化が進んだアスベストは綿のように柔らかく、青・灰・白・茶色などの見た目をしています。一見すると埃の塊のように見えるため、素人が独自で判断をするのは非常に危険です。

建物の築年数などをもとにアスベスト使用の有無を確認することも一つの方法ですが、より確実に判定するためには専門の分析機関に依頼するようにしましょう。
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