土壌汚染が原因で東京五輪の開催が危うくなることもある?-前編

土壌汚染

築地の移転先に決まった豊洲で土壌汚染の対策がしっかり取られていないことが明るみとなり、これが原因で「東京五輪って開催できるの?」と開催を危惧する声もささやかれています。開催地である東京の各所では、スポーツ競技が行われるだけでなく、選手村などの合宿・宿泊施設も置かれ、衛生や環境対策が必要なのはいうまでもありません。そこで今回は、ロンドンオリンピックで行われた土壌汚染対策を紹介します。

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ロンドンオリンピックでの土壌汚染対策

2012年に開催され、大成功に終わったロンドンオリンピックは、史上もっともグリーンでエコなオリンピックとの評価を受けています。そんなロンドンオリンピックサイトが行った環境対策の実例を紹介しましょう。

ロンドンオリンピックサイトは、もともと欧州最大規模の産業廃水処理施設があった場所であり、約250ヘクタールが汚染された広大な環境汚染フィールドでありました。「そんな場所でオリンピック大会を開いたの?」とお思いかもしれませんが、ロンドンに限らず、オーストラリアのシドニー、ブラジルのリオデジャネイロ五輪でも土壌汚染対策のあと、オリンピック会場が整備された経緯があります。

ロンドンオリンピックサイトの土壌汚染に関する調査は、2006年~2007年にかけて実施されました。採取したサンプルの土壌汚染ポイントはおよそ3500カ所。その結果、重金属や油、低濃度の放射性物質が確認され、2007年~2009年までに50のプロジェクトに分かれた浄化計画の下、工事が敢行されました。

サイトの浄化計画は、主に2つの目的に沿って行われました。一つ目は、健康リスクの防止。英国の建物研究機構のガイドラインに従い、表層60㎝の汚染されてない土壌で覆うとともに、掘削した土壌70万㎡の土壌洗浄処理を行い、有害物質の浸食と健康被害の防止につなげました。

もう一つのリスクである水辺による汚染対策は、ベンゼン、トルエン、PAHsなどで汚染された水を複数の浄化技術で処理し、継続的にモニタリング調査を実施しつつ、合計で2000万ガロン(約900,000㎡)の地下水の浄化に成功しました。

これだけ大規模な調査・浄化を滞りなく実施するため、ロンドンオリンピックでは協業システムの構築などを通じて、結果として“史上もっともグリーンなオリンピック”を実現したのです。

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