PCBを使用しているキュービクルはどのように処理すればいい?管理の仕方も解説

PCB・キュービクルの処理・管理 PCB
PCBを使用しているキュービクルはどのように処理すればいい?管理の仕方も解説

キュービクルにはPCBが使用されている可能性があります。PCBが使用されているキュービクルは、適切な処理方法で処理をしなければなりません。
今回はPCBが使われているキュービクルの処理や管理の仕方について紹介し解説します。

キュービクルとは

発電所から送電されてくる6,600Vという高圧の電気を受け取るための機器類を金属製の箱に納めたものを指します。一般的にはキュービクルと略されていますが、正式名称は「キュービクル式高圧受電設備」となります。

工場や商業施設、病院などではたくさんの電気が必要になるため、割安な高圧電気を一旦キュービクルで受電し100Vや200Vに変圧してから必要な機器に配電しています。

キュービクルの内部は、電圧を変える高圧変圧器(トランス)をはじめ、高圧コンデンサー(蓄電器)、遮断器、保護装置 、表示器などがあり設置された場所に合わせた構成になっています。

キュービクルとPCB

PCB(ポリ塩化ビフェニル化合物)は、すでに製造が中止となった電気絶縁性の高い化学物質です。
水に溶けにくく熱で分解されにくい、さらに化学的にも安定な性質であるなどの理由から1954年から1972年までは多くの電気機器に使用されていました。

キュービクルにPCBは今も使われている?

PCBは強い毒性がある有害物質であることがわかり1972年には製造・輸入・使用が原則として禁止になりました。キュービクルに設置されている変圧器、遮断機などの更新目安は20~25年が多く、各電気機器の耐用年数から計算すると今でも使われているケースはきわめて低いです。

ただし、稼働せず保管されているキュービクルの中にPCB使用の機器が納められている可能性は充分にあります。

PCBを使用しているキュービクルの見分け方

キュービクル内でPCB使用の可能性がある電気⼯作物は以下の12種類です。

変圧器 

電力用コンデンサー

計器用変成器

リアクトル

放電コイル

電圧調整器

整流器

開閉器

遮断器

中性点抵抗器

避雷器

OFケーブル

平成28年経済産業省告⽰第237号より

※ただし、特殊仕様のキュービクルは上記12種類以外の電気機器が含まれる場合もあります。

PCBを含む電気機器かどうかは、製品の製造年度を確認するのも良い方法です。
その他には、機器の銘板に記載されている型式やシリアルナンバーをもとに各メーカーに問い合わせたり、日本電機工業会のホームページ内の「PCBを含む電気機器のリスト」で確認したりすることができます。

型式やシリアルナンバーが銘板から読み取れない場合は検査が必要ですが、PCBは有害物質なので検査は専門の分析業者に依頼することになります。

PCB含有の電気機器は、PCBの濃度で⾼濃度PCB・低濃度PCBに分類されます。
⾼濃度PCBには、高圧変圧器、電⼒⽤コンデンサー、計器⽤変成器、リアクトル、放電コイル、ブッシングと⼀体となって構成されるものなどがあり、1953年から1972年に国内で製造された製品にPCB含有の電気機器の可能性があります。

一方、低濃度PCBは日本電気工業会によると1991年以降の出荷はないと判断されています。
確実に判断するには絶縁油を分析機関へ分析依頼しなければいけませんが、一部の製品では構造上、絶縁油を採取すると継続使用ができなくなる物もあるので注意が必要です。

PCBを使用しているキュービクルの処理方法

PCB含有の電気機器は、⾼濃度PCBと低濃度PCBに分類されますが、処分の際には⾼濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物として区別されます。

処理方法

⾼濃度PCB廃棄物を処分できるのは、JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)のみです。
PCB濃度が10%を超える全ての廃棄物と、濃度0.5%を超える金属くずやガラスくず、陶磁器くずなどの非可燃物、および濃度0.5%を超える廃油が該当します。

低濃度PCB廃棄物は、環境大臣が認定している「無害化処理認定施設」や都道府県の知事等が許可する指定の施設で処理を行っています。
上記の⾼濃度PCB廃棄物以外が対象です。PCBに汚染されていない機器類や機器を納めていた箱は、産業廃棄物として別途処分します。

保管の仕方

保管するにはPCBがキュービクルの外に漏れ出さないように屋根付きの場所で、腐食防止や害虫・害獣の発生予防、他の産業廃棄物の混入を防ぐ、などを施す必要があります。
また、キュービクル自体を柵などで囲い、特別管理産業廃棄物を保管していることや責任者氏名・連絡先を掲示しなければいけません。

また保管中は、都道府県知事または政令市長に保管状況を届け出ることも法律で定められています。

補助金について

中小企業がJESCOで⾼濃度PCB廃棄物を処分する場合、処理費用や運搬費用が軽減される「中小企業者等軽減制度」が利用できます。
対象は中小企業団体や個人事業者、個人などです。個人の場合、該当すれば最大で処理・運搬費用が95%も軽減されます。詳細はJESCOのホームページ上に記載がありますので、必要な方はご確認ください。

また、都道府県レベルでも、東京都や大阪府など独自の補助金制度を実施していることもあります。
対象はPCB含有分析費用であったり調査費用、処分費用等多岐にわたっているため、排出事業者の所属する都道府県に個別に相談する必要がございます。

まとめ

PCB汚染物は高濃度、低濃度ともに処理期限が決まっているため、計画的な行動が求められます。
また、JESCOが処理を受託しているのは高濃度PCB汚染物のみに限られているので、正確な定量を把握しておくことが必要となります。

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