PCBはどのように除去するべき?法律や分析の必要性も解説

PCBはどのように除去すべき?PCB分析 PCB

PCBはその毒性が社会問題化した物質であり、使用はもちろん処理に関しても規制がなされています。PCBを含む廃棄物については処理の方法や期限が定められているため、きちんと把握しておく必要があります。今回はPCBの除去方法や分析の必要性、PCBに関わる法律について解説いたします。

PCBとは

PCBが一体どういったものなのか、人体への影響などを踏まえて解説いたします。

PCBとは

PCB(ポリ塩化ビフェニル)とは、炭素と水素、そして塩素からなる工業的に合成された油状または白い結晶状の物質です。
200種類を超える異性体が存在し、分子に保有する塩素数や位置がそれぞれ異なります。

PCBは人工的に製造された物質です。
化学的に安定しており、燃えにくく電気を通しにくい性質を持つことから、電気機器や絶縁油、熱媒体に使用されることが多くありました。
そのほかの特徴として、酸化しづらい、金属を腐食することが少ない、水に溶けにくく油に溶けやすいことなどが挙げられます。

PCBを絶縁油として使用している製品には工業製品のトランスやコンデンサ、蛍光灯の安定器などがあります。
また、潤滑油として塗料、印刷インキ、ノンカーボン紙などにも含まれている可能性があります。

人体への影響

以前は無害といわれていたPCBですが、現在では人体に影響を与えるといわれています。
爪や口腔粘膜の色素沈着、爪の変形、塩素ニキビ、肝機能障害や関節の腫れなどの中毒症状が報告例として挙げられています。

PCB自体の急性毒性は防虫剤ほどで、直接触れたり飲んだりすることがない限り、置いておくだけであれば問題はありません。しかしPCBは環境中で分解されにくいという化学的性質を持っており、食物連鎖で長い時間をかけ、人体に濃縮されることによって発がんに至る可能性もあると危惧されています。

PCB廃棄物は長いものだと30年の保管が義務づけられていますが、企業の倒産等が原因で紛失してしまい、環境に放出する危険性が指摘されています。
昭和43年、西日本の各地でPCBが原因と思われる食中毒事件が起き、吹き出物や関節の腫れ、色素沈着などの症状を訴える人が続出しました。米ぬか油のにおいを取り除くための熱媒体としてPCBが使用されており、誤って体内に入ってしまったのではないかと指摘されています。PCBの一部が熱により酸化し、ダイオキシン類のポリ塩化ジベンゾフランに変化したことによって被害が拡大したともいわれています。

PCBに関する法律

PCBを扱ううえで、いくつか関連する法律があります。

平成13年に発足した「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」ではPCBの製造やPCB廃棄物の保管事業者、処分の期限、保管状況の公表、国及び地方公共団体の責務など細かく規定されました。

これまでPCB濃度5,000mg/kg(0.5%)以上のものは「高濃度PCB廃棄物」、5,000mg/kg(0.5%)以下のものは「低濃度PCB廃棄物」として分類されていました。

しかし平成24年12月21日に一部法改正が行われ、PCB濃度が0.5%~10%の可燃性の汚染物等は「低濃度PCB廃棄物」と定義づけられ、無害化処理認定施設等で処理できることとなりました。
また、処理期限は2027年の3月末に延長されました。

一方、「高濃度PCB廃棄物」は金属くず等以外の判定基準が、環境大臣が定める法によって0.5%→10%に変更されました。

低濃度PCBと異なる処理を行う必要があるため注意が必要です。

PCB分析の必要性

PCBを廃棄するためには分析を行う必要があります。詳しくご説明いたします。

分析の必要性

機器の製造時にPCBが含まれているかどうかについては、機器メーカーに問い合わせれば低濃度か高濃度かを含め判明することがあります。
しかし、製造時に含有が確認されていない場合でも絶縁油の補充や入れ替え時にPCBが混入してしまった可能性があるため、そういったことがなかったかも含めて問い合わせをしましょう。

一方で、機器メーカーが判らず銘板なども読み取れない、そもそも機器メーカーが現時点で存在しない場合などは分析を行う必要があります。

微量PCBとは

PCBの製造や使用は1972年に中止されましたが、国の調査によると2002年7月にPCBを使用していないはずの機器から微量PCBが確認されました。

微量PCBとは本来PCB未使用の電気機器等でも、意図せず混入してしまい絶縁油中のPCB濃度が0.5%を超えたもののことを指します。PCBを使用した電気機器と比べると含有量が微量なため微量PCBとされています。

PCBの廃棄方法

PCBを廃棄する必要がある対象物や、廃棄と分析の流れについて詳しく解説いたします。

PCBの処理対象物

PCB特別措置法と廃棄物処理法による規定から、PCB濃度が0.5%を超える場合は対象機器として届出をし、適正な保管や処理が必要です。
一方で0.5%以下の場合はPCB廃棄物に該当しないため通常の産業廃棄物として処分することが可能です。

PCB廃棄までの流れ

PCBの含有が不明な場合、廃棄までの流れは以下の通りです。

  1. 問い合わせ
  2. PCB分析
  3. 低濃度PCB廃棄物の分析結果
  4. 現地確認
  5. 見積もりと契約書の確認
  6. 収集運搬作業
  7. 前処理・作業
  8. 処理完了

PCB分析の種類

PCB分析には種類があります。
変圧器やコンデンサを対象とした絶縁油PCB分析は、必要に応じて採取するためのキットを送付し分析します。採取が不安な場合は専門業者にお願いしましょう。

高性能PCB分析は、「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法」に準拠し、GC-HRMS法を用いて個別項目の定量結果を算出するものです。

廃棄物PCB分析ではGC-ECD法を用いて分析を行います。

まとめ

PCBは直接触れることで人体に悪影響のある物質といわれています。
PCBが含まれている可能性がある電気機器は多くあるため、メーカーに問い合わせても含有割合が分からないという場合は分析をする必要があります。
該当する機器をお持ちの場合は、ぜひ一度事業者に問い合わせてみることをおすすめします。

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