PCBは照明器具にも使われている!?健康被害が広がる前に適切な処理をお願いします!

PCBの健康被害 PCB

高濃度PCB廃棄物の処理期限は2023年(令和5年)3月末まで、低濃度PCBは2027年(令和9年)3月末日までです。地域によって詳細な日程は異なりますが、早めの処分を行うことで慌てずに済みます。PCBはオフィスや学校の教室で使われている照明器具にも利用されていることがあるので、一度調べておくことをおすすめします。

今回は照明器具に含まれるPCBと健康被害についてご紹介します。問題が起こる前に速やかに処分しましょう。

PCBが人体に及ぼす影響

PCBは体内に蓄積されると健康被害を及ぼす有害な物質として、日本では1972年(昭和47年)に製造・販売が禁止されています。

PCB中毒症状

一般に、PCB中毒症状は、目やに、爪や口腔粘膜の色素沈着、座瘡様皮疹(ざそうようひしん:塩素ニキビのこと)、爪の変形、まぶたや関節の腫れ、などがあげられます。

他にも、PCBの有害性がクローズアップされるきっかけとなったカネミ油症事件(昭和43年)では、PCB類・ダイオキシン類による複合中毒症状として、手足のしびれ、倦怠感、食欲不振、体重減少、月経異常、視力の低下などが見られました。

診断

身体に現れている症状や生活環境、血液検査などから診断します。
中毒症状発症時は血液中のPCB濃度が上昇していることが多いようです。

治療方法

PCB中毒症の原因となるPCBは、通常ではほとんど体内から排泄されず、また解毒薬も開発されていないため根治的な治療法は確立していません。
色素沈着に対してはビタミンCやグルタチオン剤の内服など、各症状をおさえる対症療法が中心となっています。

照明器具に使われているPCB

中毒症を起こすと根治が難しいPCBですが、実は身近な照明器具にも使われている可能性があります。

照明器具に使われているPCBとは?

照明器具に使われているPCBは、熱で分解しにくく電気絶縁性が高いなどの理由から主に照明に必要な安定器の絶縁油として用いられていました。

PCB使用照明器具に該当するのは、1957年(昭和32年)~1972年(昭和47年)までのおよそ15年間に製造された照明器具の内、蛍光灯など放電現象を利用した放電ランプに多く見られます。

PCBが使われている照明の種類

PCBが使用された可能性がある照明(放電ランプ)の種類は、蛍光灯、水銀灯、低圧ナトリウム灯などがあり設置場所は様々です。

<蛍光灯>

蛍光灯はオフィスや工場、学校の教室などでよく使われています。
業務用の直管形の蛍光管が対象で、一般家庭用の蛍光灯にはPCBが使用されているものはありません。

<水銀灯>

水銀灯は講堂や体育館、工場などの高天井の照明、および街路灯、防犯灯などに使われています。
安定器は、照明器具本体から分離した別置形になっていることがほとんどです。

2013年(平成25年)に「水銀に関する水俣条約」が国連環境計画の外交会議で採択・署名されたため、2021年(令和3年)以降は一般照明用の高圧水銀灯が、製造も輸出入もすべて禁止となります。

<低圧ナトリウム灯>

低圧ナトリウム灯はオレンジ色系の照明であまりまぶしさを感じさせないという特徴があり、主にトンネルの照明に使われています。

見逃しやすい場所

安定器が別置きになっている照明器具は、取り替えの際などに見逃されていることが多いです。
具体的な場所として、天井裏や工場などの壁際、安定器収納ボックス内などがあります。

また、エレベーター照明用の安定器がエレベーター内に取り残されていたり、照明器具内に古い安定器がそのまま残っていたりすることもあります。加えて屋外・屋内の倉庫・車庫・電気室・機械室なども見逃しやすい場所です。

PCBが使われているかを判断する方法

PCBが使われているかを判断する方法

PCBは廃棄期限があるので、照明器具の種類や設置場所からPCBが使用されている可能性があれば早めに確認してください。

判断の手順

まずは、照明器具や安定器の銘板(ラベル)で製造年月日が1957年~1972年(昭和32年~昭和47年)の間かを確認します。範囲内であれば各メーカーに問い合わせましょう。メーカーがわからないときは、日本照明工業会JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)のHPに掲載されている確認方法を参考にします。

PCB機器処理の方法

PCB含有機器は廃棄の際、高濃度と低濃度のPCB廃棄物に分けられます。それぞれで処分できる施設や期限が異なります。

高濃度PCB廃棄物の処理については、自治体への届け出とJESCO(別名:中間貯蔵・環境安全事業株式会社)への処理申し込み・登録が必要です。エリアごとに期限が設けられていますが、最終期限は2023年(令和5年)3月末日となります。

低濃度PCB廃棄物の処理は、環境大臣が認定する無害化処理認定施設や都道府県知事等が許可する施設が利用でき、最終期限は全国共通で2027年(令和9年)3月末日です。

まとめ

PCBは意外な場所に隠れています。健康被害が懸念され、処分期限も迫っているので一度点検しておくといいでしょう。

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