土壌汚染対策法が出来たきっかけ

土壌汚染

築地の移転問題にからみ、にわかにクローズアップされるようになった土壌汚染の問題。
万が一、自分たちの住んでいる土地や、使用している生活水周辺の土壌が有害物質で汚染されていたら、健康不安は募りますよね。
まず土壌汚染に関する知識をもち、有害物質から土壌環境を守るための法律についてしっかり知ることが大切。今回はそれらの情報をお伝えするとともに、代表的な公害についても説明します。

20170216-001

まだまだ社会的に知名度が低い土壌汚染

豊洲の問題をきっかけに、最近よく耳にするようになった土壌汚染。そもそも土壌が汚染されることで私たちの健康や生活にどのような影響が起きるのでしょうか?

土壌は、水や空気と同じように、人間を含む全ての生き物の生活に欠かせないものです。私たちが普段口にしているお米や野菜などは、土から栄養分を吸収して育ち、食卓に運ばれます。

もし仮に、土壌が化学薬品や油、重金属などの有害物質によって汚染されたとしたらどうなるでしょう?汚染の影響は農作物にも及び、それを口にする私たちの健康は当然、脅かされるかたちとなります。土壌汚染対策法では、土壌汚染による健康被害のリスクを大きく2つに分類しています。

・地下水摂取によるリスク

汚染土壌内の有害物質が地下水に溶け出し、生活用水として口に含むことで体に害を及ぼします。

・土壌などに直接触れるリスク

有害物質を含む土壌に直接触れることで健康が脅かされるリスクをいいます。

何がきっかけで土壌が汚染されるか分かりません。しかし、これらのリスクから国民の健康と生活を守るために土壌汚染対策法があり、有害を除去するためのさまざまな措置が講じられます。

土壌汚染対策法と典型的な公害

日本は豊かな経済大国の地位を築いた代償として、多くの公害に苦しんできた歴史があります。「7つの公害」とよばれる代表的な公害について、以下に説明します。

・水質汚濁

化学物質などによって水が汚染されること。この水質汚濁によって水俣病やイタイイタイ病に苦しむ患者が急増しました。

・大気汚染

空気が汚染されること。自動車の排気ガスや工場の煙突から排出される煙などによって大気が汚染された状態です。

・騒音

生活に支障を来たすような激しい音による被害。工事現場の音や飛行場のごう音、交通車両や列車の音など。

・悪臭

ゴミや化学薬品などから立ちのぼる嫌な臭い。化学工場や製造工場近辺だとその被害リスクは高まります。

・振動

大きな物体の移動などで地面が大きく揺れているように感じること。飛行場や新幹線、工事現場の掘削機の影響が大きいといえます。

・地盤沈下

地下水をくみ上げたことにより、地盤が沈んでしまう状態。

・土壌汚染

化学薬品や農薬、重金属など、体内に摂取すれば甚大な健康被害を及ぼす有害物質によって土壌の環境が汚染されてしまうこと。土壌汚染によって地下水も汚染されます。

これらの公害は、昭和42年に制定された公害対策基本法によって明確に公害と規定されています。公害対策基本法は、水俣病やイタイイタイ病、四日市ぜんそくの発生を受けて制定された経緯があります。その他、公害から環境を守る法律としては、環境基本法や土壌汚染対策法などが有名です。

コメント