中小企業のための土壌汚染対策法ガイドライン-調査から対策検討まで

土壌汚染

化学物質などを扱う製造業や工場事業者は、国民の生活や環境に与えるリスクを常に計算に入れながら、事業運営していることでしょう。企業の利益と同時に、国民の健康や環境を守るには、土壌汚染対策法など法律についての知識や、そのガイドラインについて理解を深めることが大切。そこで今回は、化学物質を扱う中小企業ならぜひ抑えておきたい、土壌汚染のリスクや調査から対策までの流れについて説明します。

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土壌汚染対策を実施しようとしている中小企業

土壌汚染には、以下の健康不安や被害のリスクが存在します。環境対策が求められる企業はとくに、土壌汚染が健康に及ぼすリスクについて理解し、把握することが大切です。

揮発性の有機化合物による人体への影響

目や皮膚に異常な刺激を覚える。頭痛やめまい、肝臓や腎臓などの機能障害。

重金属類による人体への影響

突然の貧血、胃腸や肝臓、腎臓などの障害。

農薬などが人体に与える影響

激しい咳や痰の症状。腎臓や肝臓の障害など。

つまり、揮発性の有機化合物や重金属類、農薬等を製造、または製造に関わる事業者は、有害物質によって土壌環境を汚染している可能性があります。工場を廃止し、立ち退く場合は、土壌汚染対策法にもとづき、指定調査機関に委託して汚染状況を調査する義務が課せられます。

事業規模が大きくない中小企業であれば、対策に要するコストも気になるところ。その費用ですが、各業者がそれぞれ独自の料金設定をもとに見積りを出しますので、一概にはいえません。また、汚染の状況や土地の利用方法、措置の対象となる土地の広さによっても価格帯は変動します。事業者が出す条件の設定も料金に反映されるでしょう。

調査に関する基礎知識と具体的な手順

土壌汚染の調査は、まず計画書の作成から始まって、地歴調査を行い、登記簿や過去の利用履歴などから汚染状況の可能性を探ります。汚染の可能性が濃厚な場合、土壌の表層調査やサンプル採取と分析、地下水のモニタリングを行い、汚染状況を正確に調べます。そして指定基準を上回る有害物質が検出されたら、その結果を都道府県に報告、その土地は要措置区域となり、必要な土壌汚染対策がとられることになります。

土壌汚染の対策・措置にはさまざまな方法がありますが、その中でも汚染物質が周囲に拡散しないよう、環境や住民保護も視野に入れた取り組みを行う必要があります。たとえば、汚染された土壌を取り除き、きれいな土壌に埋め戻すときは、汚染物質が周囲に拡散しないよう、アスファルトやコンクリートで周囲を囲み、遮断します。それと同時に、汚染状況を確認するための観測井戸も設けられます。

低コストでエコな汚染対策技術の開発も急務です。最近では、自然由来の重金属汚染土壌を浄化するシステムを開発した企業もあります。この技術は、特殊な鉄粉を土壌の中の重金属に吸着させ、磁石で回収し、クリーンな状態に戻すという浄化方法です。不純物の発生や排水の必要もないため、環境にやさしく、低コストの方法として注目を集めています。

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