土壌汚染対策法が目指すもの

土壌汚染

20170223-001
築地の移転問題にからみ、にわかにクローズアップされるようになった土壌汚染の問題。万が一、自分たちの住んでいる土地や、使用している生活水周辺の土壌が有害物質で汚染されていたら、健康不安は募りますよね。まず土壌汚染に関する知識をもち、有害物質から土壌環境を守るための法律についてしっかり知ることが大切。今回は、土壌汚染対策法が制定された目的や法が現場に求める状況について、説明します。

土壌汚染対策法の目的

土壌汚染対策法は、汚染環境から国民の健康と生活を守るために制定され、その後何度かの改正を経て今日に至っています。有害物質を扱う企業や工場の跡地利用に伴い、土壌汚染の問題は深刻さを増しています。

こうした環境汚染から国民の健康を保護するために、土壌汚染対策法では以下の場合に土壌汚染の状況調査を実施する義務を定めています。

・有害物質使用の特定施設が廃止された場合

使用禁止の有害物質を扱っていた工場事業者、または土地の所有者は、その使用が廃止されると同時に環境大臣が指定する調査機関に依頼して汚染状況を調査し、都道府県知事に報告する義務が課せられます。

・健康被害をもたらすような土壌汚染が認められる場合

都道府県知事は、その土地が健康被害を与えるような汚染状況にあると認められる場合は、土地の所有者に対し、指定調査機関に汚染状況を調査させ、その結果を報告させることができます。

このように、汚染リスクの高い土壌は法律によってその調査が定められています。調査結果にもとづき、事業者や土地所有者はしかるべき措置をとる必要があります。

汚染拡散防止措置とは?

土壌汚染が認められる場合、汚染状況の改善と拡大防止のための対策を講じる必要があります。土壌の除去や遮断などの措置は工事事業者が請け負うことになりますが、工事中に汚染物質が拡散しないためのさまざまな工夫がなされています。

例えば、汚染されていない土壌に差し替える埋め戻し措置の際は、埋め戻した後に汚染が拡散しないよう、アスファルトやコンクリートで覆う方法がとられます。拡散しているかどうかを確認するための観測井戸も設置されます。

また、汚染土壌を運搬する車両には、土壌汚染対策法の第17条「運搬に関する基準」で、「運搬を行う自動車や船舶、列車などの車両の両側面に汚染物質運搬の旨を表示する義務を負う」と規定されています。ただし、運搬方法について特別な規定はありません。

いずれにしましても、過去に汚染されていた土地、汚染の恐れのある土地に、人が居住もしくはある程度の頻度で活用したとしても、健康被害が及ばないような措置をすることを法律は求めています。

土壌汚染によるリスクを軽減するためにある土壌汚染対策法。それを生かすには、正しく法律を理解して運用することが大切です。

コメント