細菌増加による食中毒は夏に多い?高温多湿な時期に万全の衛生管理を

検便検査

夏になると、食中毒を引き起こす細菌が活発に活動を始めます。この時期、飲食店で働く関係者は、衛生管理の徹底に神経をとがらせることでしょう。繁殖する細菌に対して、どのような予防対策を講じればいいのでしょうか?夏にのみ感染力を発揮する細菌の特殊性を見ていきましょう。

夏は食中毒に特に注意しなければならない季節

「飲食店で食中毒が発生し、従業員やお客が病院に搬送された」。蒸し暑い時期になると、こんなニュースが飛び交うようになります。では、なぜ夏に食中毒は起きやすいのでしょうか? 食中毒の原因となる細菌は、20℃くらいの室内温度がもっとも生息に適した環境になるといわれます。気温の上昇で室内の温度も上がるにつれ、細菌の繁殖は活発になり、人間の体温くらいの温度でピークを迎えます。これに加え、湿度も上がるとさらに細菌の好む環境となり、食品や人間の体に侵入して食中毒を拡大させてしまうわけです。 もうひとつ見逃せない点は、「高温による免疫力の低下」です。猛暑やじめじめした暑さの中で動くと、急激に体力を消耗します。夏になると弱くなる人間の体に対し、細菌は活発に繁殖を開始します。そんな両者の性質の違いが、食中毒を引き起こす原因となります。

一度の食中毒発生でお店の存続は危機に面する

食品を扱う飲食店で食中毒騒ぎが起これば、大きなイメージダウンにつながります。だからこそ、日頃の衛生管理を徹底しなければなりませんが、それが及ばずに食中毒が原因で閉店となった事例は数多く存在します。 たとえば、タレントの藤本美貴さんがイメージキャラクターを務めていた神奈川県大和市の焼き肉店「炭火焼き肉・美貴亭」で発生した集団食中毒を見てみましょう。横浜市内の高校生33人が同店の上カルビやハラミ、上ロースを食べ、うち16人が腹痛と下痢を訴え、病院へ搬送されました。病院の検査では、3人の便から「腸管出血性大腸菌O157」が検出されました。 県の調べで高校生の食中毒は同店で出された食事が原因と分かり、お店は営業停止処分となりました。これが原因で「炭火焼き肉・美貴亭」は大和店以外にも系列のお店3店舗が閉店に追い込まれるという事態に発展しています。有名タレントが関わるお店ということで話題性が高かったという点もありますが、飲食店で発生する食中毒がいかに怖いかを示す事例といえるでしょう。 ]]>