日本の食を守るための食品製造業における衛生管理の厳しさ

検便検査

日本の食品製造における衛生管理

世界的に見てもきれい好きといわれる日本人。そんなお国柄もあって、食品工場では「5S」とよばれる我が国独自の製品管理と安全対策の手法が取られてきました。 5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」という5つの項目によって構成された行動原則です。大正時代、それまで家内工業中心だったのが、大規模な工場体制へと移行したのを受け、大量の物品・備品・製品の整理整頓業務の必要性に迫られました。工場内の環境をクリーンで快適にするためのスローガンとして「整理」「整頓」「清掃」の3Sが生まれたのが始まりです。その後、「清潔」「躾」が加えられ、5Sとなり、最近では「殺菌」「消毒」の2つを足した7Sという言葉も生まれてきています。 異物混入や食中毒の発生が相次ぐ中、2000年代に入って5Sを実践する工場が増えてきました。5Sには、工場内環境を清潔でクリーンにするだけでなく、食品を微生物汚染から守るという効果もあります。食の安全に対する消費者意識の強い日本で根付いた独自の文化といえるかもしれません。

海外と日本の衛生管理への認識

食の安全を守る取り組みは、各国で行われています。生活スタイルも文化も違う外国では、食品衛生についてどんな考えを持っているのでしょうか。アメリカを例に出して考えてみます。

米国における食品の安全に対する認識

米国でも、O157やサルモネラ菌などの食中毒事故が後を絶たず、消費者の食品メーカーに対する視線も厳しくなっています。食中毒の脅威から国民を守るため、2009年3月にオバマ大統領は「大統領食品安全ワーキンググループ」を設立。食品安全に関する制度を早急に整備する必要性を認識し、2011年1月に大統領が食品安全近代化法に署名し、食中毒の事前予防を強化する方針を掲げました。一連の流れには、政府だけでなく、産学界も深く関わり、背景には国民の食の安全に対する切実な訴えがあったことはいうまでもありません。

日本の衛生管理への認識

国内では、毎年のように食中毒が猛威を振るい、学校や高齢者施設などで集団食中毒の騒ぎが発生します。飲食店や食品製造の会社で感染者を出した場合、大きなイメージダウンは避けられません。最悪の場合、閉鎖や閉店に追い込まれます。そのため、各社各店、5S運動やHACCCP(ハサップ)を導入し、食品や環境面の衛生管理を徹底するところが近年とくに増えているといっていいでしょう。 食の安全が脅かされれば、人体の健康にも被害が及びます。国は違っても、そこは万国共通。食の安全に対する意識や取り組み、消費者目線の厳しさに、大きな差はないといえるでしょう。]]>

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