食品製造でノロウイルスに感染しやすい食品は何ですか?
検便検査
「食品製造とノロウィルスの問題点」
食べ物を作り提供する企業にとって、ノロウィルスはまさに天敵ともいえる存在です。感染力が強く、集団生活の場で感染者が出れば、あっという間に食中毒騒ぎとなってしまうことも。それを防ぐには、ノロウィルスの特性や感染症対策をしっかり熟知することがまず大切といえるでしょう。そこで今回は、食品製造に携わる業者を対象に、ノロウィルスに感染しやすい食品を答えてもらい、調査結果をもとに現場の認識や問題点・予防について考えてみます。
アンケート結果
Q:食品製造でノロウィルスに感染しやすい食品は何ですか?
1位:牡蠣 59%
2位:寿司 22%
3位:二枚貝 18%
第1位:牡蠣
- 牡蠣による感染例が多く、生食で食べることも多いから(宮城県・36歳・女性)
- 生の牡蠣を提供しているので他はあまりわかりませんが、鮮度が少しでも悪くなると提供しない。(大阪府・39歳・女性)
- 牡蠣の網焼きなどでは、焼く時間短かった場合に加熱不足になれば感染の危険性があるので。(広島県・45歳・男性)
- 牡蠣の貝の中の身が過熱しないとノロウィルスに感染しやすいということがわかった。過去にあったのでよくわかる。(岐阜県・47歳・男性)
- 冬場夏場に関わらずノロウィルスに感染しているものが多い。(広島県・33歳・女性)
- 感染しているものかどうか見ただけでは、わからず、生でお客さんが食べるので影響が大きいと思います。(京都府・33歳・男性)
一言コメント(第1位)
半数以上の方が牡蠣が感染しやすいと答えました。牡蠣はおいしい海産物の代表ですが、生食で味わう機会が多く、その結果、多くの感染者を出してしまいます。十分な加熱処理をしても気をつけている業者が多かったのが印象です。
第2位:寿司
- 店で提供している商品の中では寿司が最も発生しやすいです。(大阪府・33歳・男性)
- 生ものなので、調理してあるものよりも、どうしてもノロウイルスやその他の菌が発生、増殖しやすい。(静岡県・35歳・男性)
- 手で直接触る部分が多いので、注意するようにしています。(神奈川県・40歳・女性)
一言コメント(第2位)
牡蠣に次いで多かった寿司は、やはり同じ生食ということで多くの業者が警戒しています。手で握って出すという特性もあり、自ずと感染リスクは高くなります。安全性と伝統、味のバランスをとるのが難しい食べ物ですね。
第3位:二枚貝
- 海鮮加工の人と話すとやっぱり、二枚貝からよく出るとききます。(愛知県・35歳・男性)
- 厳密には牡蠣も含まれるが、二枚貝はその食性から体内にウィルスを取り込みやすく、管理を怠ればすぐに増殖し人体に影響があるレベルになってしまうから。(大阪府・47歳・男性)
- 生で提供する機会が多いので感染しやすいです。(奈良県・33歳・女性)
一言コメント(第3位)
「3位の二枚貝もまた海産物(厳密には牡蠣も含まれます)です。ノロウィルスは二枚貝の内臓にもっとも生息するともいわれることから、海鮮加工の業者はとくに注意されているようです。感染の有無は見ただけでは見分けがつかず、生で食べてしまえばかなりの確率で感染してしまいます。
まとめ考察
ノロウィルスは秋から冬にかけて猛威をふるう感染菌です。その原因は、同じ時期に食べ頃を迎える牡蠣や二枚貝によるものという見方が一般的です。そうした考えは、食品製造の現場の声を聞いた結果でも分かりました。
牡蠣や二枚貝はノロに感染しやすいというだけでなく、生食で味わうという食べ方も大きなポイントです。食材の加熱処理など、マニュアルを守っても生食の場合は防ぎようがありません。これは食品製造・加工の会社にとって難しい問題ですね。
食品製造の現場から感染者を出さないためには、定期的な検便を従業員に課すことが大切です。衛生管理のマニュアルでも検便の実施を規定しています。季節を問わず、全てのスタッフに検便の検査を受けさせるようにしましょう。
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