2017年4月より土壌汚染対策法に定める特定有害物質が追加されます

土壌汚染

平成28年3月29に土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直しにより、特定有害物質としてクロロエチレン(塩化ビニルモノマー)が追加されました。平成29年4月1日より正式に法律改正となりましたので、その内容を説明していきます。
20170404-001

土壌汚染状況調査に定める調査方法

(1)土壌ガス調査(環境省告示16号)
土壌ガス中の調査対象物質である特定有害物質にクロロエチレン(塩化ビニルモノマー)が加わります。
土壌ガス調査に関わる特定有害物質の項目数は、従来の11項目から12項目となります。

表1  土壌ガス調査(環境省告示16号)の改正内容

特定有害物質 定量下限値 測定方法
クロロエチレン
(塩化ビニルモノマー)
0.1volppm GC-PID(10.2eV、11.7eV)
GC-FID、GC-ECD、GC-MS

(2)地下水(環境省告示17号)
地下水に含まれる試料採取等対象物質である特定有害物質にクロロエチレン(塩化ビニルモノマー)が加わります。
地下水に関わる特定有害物質の項目数は、従来の26項目から27項目となります。

表2 地下水(環境省告示17号)の改定内容

特定有害物質 地下水基準値 測定方法
クロロエチレン
(塩化ビニルモノマー)
1Lにつき0.002mg以下であること 平成9年3月環境庁告示第10号
付表に掲げる方法

(3)土壌溶出量調査(環境省告示18号)

土壌溶出量調査に係る特定有害物質にクロロエチレン(塩化ビニルモノマー)が加わります。
土壌溶出量に関わる特定有害物質の項目数は、従来の26項目から27項目となります。

表3 土壌の汚染に係る環境基準(環境庁告示46号)の改定内容

特定有害物質 土壌溶出量基準 第2溶出基準 測定方法
クロロエチレン
(塩化ビニルモノマー)
1Lにつき0.002mg以下であること 1Lにつき0.002mg以下であること 平成9年3月環境庁告示第10号
付表に掲げる方法

特定有害物質 第2溶出基準 測定方法
クロロエチレン
(塩化ビニルモノマー) 1Lにつき0.002mg
以下であること 1Lにつき0.02mg
以下であること 平成9年3月環境庁
告示第10号付表に
掲げる方法

(4)土壌汚染に係る環境基準(環境庁告示46号)
環境基準項目にクロロエチレン(別名:塩化ビニル又は塩化ビニルモノマー)及び1,4-ジオキサンが加わります。
土壌汚染環境基準の項目数は、従来の26項目から28項目となります。

表4 土壌の汚染に係る環境基準(環境庁告示46号)の改定内容

特定有害物質 環境上の条件 測定方法
クロロエチレン
(塩化ビニルモノマー)
検液1Lにつき0.002mg以下であること 平成9年3月環境庁告示第10号
付表に掲げる方法
1,4-ジオキサン 検液1Lにつき0.002mg以下であること 昭和46年12月環境庁告示第59号
付表7に掲げる方法

今回の改定に伴う環境省からの通達は、以下のHPにも掲載されておりますので、ご覧ください。
環境省HP
http://www.env.go.jp/press/files/jp/102374.pdf
http://www.env.go.jp/kijun/tikat1.html

土壌汚染対策法改正の背景

今回追加されたクロロエチレン(塩化ビニルモノマー)と1,4-ジオキサンですが、塩化ビニルモノマーについては、発がん性物質として地下水の水質汚濁に係る環境基準である水質環境基準には従来から対象物質として指定されていました。
さらに、汚染源である塩化ビニルは、上・下水道配管や電線被覆などのライフラインや、雨どい、壁紙といったような幅広い分野で利用されており、土壌汚染にも影響を与えるだろうということで、塩化ビニルモノマーからクロロエチレンに名称変更のうえ、対象物質として追加されることとなりました。

また、1,4-ジオキサンについても、水質環境基準だけなく、発がん性のある特定有害物質として、労働安全衛生法施行令や廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令)にも基準を定められた物質であり、主に化学製造業での使用が多く認められていることから、今回の土壌汚染対策法の特定有害物質としても追加されることとなりました。
今後、クロロエチレン(塩化ビニルモノマー)や1,4-ジオキサンに関する調査が必要になってくるタイミングですが、平成29年4月1日以降に、有害物質使用特定施設を廃止の届出を行う場合(法3条)や、土地の開発などで行政より土壌汚染調査の指示が出る場合(法4条)などでは調査が求められることになるでしょう。

法人事業者はもちろん、個人事業者としてクリーニング店やガソリンスタンドを経営している方は、予備知識として知っておいて損はないと思います。

分蔵検蔵でも調査・分析対応いたします

分蔵検蔵でも、今回の土壌汚染対策法の改正に伴うクロロエチレン(塩化ビニルモノマー)及び1,4-ジオキサンを含む調査・分析を行っております。

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