もし自分の生活する場所や職場の土壌が汚染されていたら…。
想像するだけで怖いですよね。地中の有害物質は土壌環境への影響ばかりか、地下水が汚染されるリスクも生じます。しかし、健康被害をいたずらに不安視する前に、土壌汚染がどんなかたちで健康に影響を及ぼすのか、またどんな種類の健康被害が存在するのか、しっかり把握することがまず大切。そこで今回は、土壌汚染と健康被害の関係と、汚染を受けてどのような流れで調査と対策が行われるかについて説明します。
土壌汚染による健康被害
土壌を有害物質から守るための法律である「土壌汚染対策法」。その中で、措置や対策を必要とする地域の要件を示す条文の中に、「健康被害が生じるおそれの基準」という文言があります。その基準については、「直接摂取や地下水経由で汚染物質に触れる可能性」と「汚染の除去対策が講じられていないこと」と定められています。
つまり、地下が汚染された状態であっても、その水を飲んだり、土に接触したりしなければ健康被害に見舞われる可能性は少ないでしょう。土壌が汚染されているからといって、即健康被害には結びつかないことを意味します。
また、土壌の汚染は、目に見えるものではありませんので、専門業者に委託して調査し、有害物質の濃度などを測定して汚染の有無を調べることになります。都道府県が条例に基づいて実施することもありますが、土地の所有者などが自主的に調査するケースも目立ちます。ただし、自主調査で土壌が汚染されている状態が確認されても、条例で届け出を義務づけている自治体を除いて、届け出や報告をする義務はありません。届け出を行い、人体への健康リスクの存在が認められる場合、汚染対策の「要措置区域」となり、土地所有者に対し、汚染除去に関する具体的な措置を取る要命令が出されます。
土壌汚染対策をするタイミング
土壌汚染には、大きく分けて2つの種類があります。それは「直接摂取」と「間接接種」です。
直接摂取
汚染された土壌に直接触れる、または飛散した汚染土壌が口や鼻を通して人体に入り、摂取すること。
間接摂取
降雨の影響で土中の有害物質が地下水に流れ込み、供給を受けている家庭が飲用水として使用する。また、汚染土壌の環境で成育した農作物や、牛やブタなどの家畜が汚染され、それを摂取すること。
また、有害物質は大きく3つに大別され、摂取を受けての症状や障害も種類ごとに異なります。
第1種特定有害物質(揮発性有機化合物)
目や皮膚への刺激、頭痛やめまい、知覚異常、肝臓や腎臓への障害など。
第2種特定有害物質(重金属類等)
貧血、胃腸障害、肝臓障害、腎機能障害、急性中毒、慢性中毒など。
第3種特定有害物質(農薬等)
咳、痰、結膜炎、腎障害、肝機能障害、急性毒性、急性中毒など。
土壌が汚染されても、ただちに健康被害に結びつくとは限りませんが、汚染環境にある場合、健康被害のリスクが高まることが予想され、土地を売買するときはきちんと調査して土壌の状況を確認するのがベストです。
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